関連意匠制度が改正されます
~関連意匠制度を利用して強い意匠権を取得するには~
2019/11/01
(1) 関連意匠制度とは?
自分の登録されたデザイン(A)に類似するデザイン(B)を関連意匠として登録できる制度です。
関連意匠を登録するメリットは、権利範囲が二つの登録意匠と同一類似だけでなく、二つのデザインの間に存在するデザイン(C)にも権利範囲が及ぶ可能性が高くなることです。
(2) 関連意匠制度の活用方法
上の図は、登録したデザインの権利範囲をわかりやすく説明するものです。
・デザイン(A)の鉛筆(長さ180mm)を出願して意匠登録されたものとします。
・デザイン(B)の鉛筆(長さ100mm)をその関連意匠として登録します。
・登録していないデザイン(C)の鉛筆(長さ150mm)にも権利範囲が及ぶと考えられます。
これは、デザイン(B)について関連意匠として登録することで、デザイン(B)がデザイン(A)に類似するものであると認められたことになるためです。この場合、デザイン(B)とデザイン(A)の中間形状であるデザイン(C)は、デザイン(A)に類似すると考えられます。すなわち、デザイン(C)をデザイン(A)の権利範囲として主張することができることとなります。
意匠権の権利範囲は狭い(類似の範囲が狭い)ので、権利を取っても使いづらいなどと言われてきました。
しかしながら、関連意匠制度を有効に利用することで、意匠権の権利範囲に平面的な広がりを設けることができます。
(3) 今回の関連意匠制度の改正ポイント(2020年4月施行)
・権利範囲の拡大
今回の改正では、これまでの関連意匠制度では登録が認められなかった、「関連意匠にのみ類似するデザイン」も関連意匠の関連意匠として登録できるようになります。これによって、最初の意匠権の権利範囲(A)に類似する意匠の権利範囲(B)に加え、さらに(B)にのみ類似する意匠の権利範囲(D)や、さらに(D)にのみ類似する意匠の権利範囲(E)も登録することができることになります。
このように、類似の類似範囲を次から次へと権利範囲を広げて広範囲な意匠の権利範囲を獲得できることができます。
・出願時期の制限緩和
改正後は、関連意匠制度の出願時期の制限が「大幅に」緩和されます。本意匠の出願日から10年以内に類似するデザインを関連意匠として出願することが可能となります。
なお、関連意匠制度については、その他の登録要件や存続期間に関する注意点もありますので、実際に利用する際には注意が必要です。
注)上記説明では、理解を容易にするために、意匠はデザインとして表現しました。また、意匠権の権利範囲をわかりやすく説明するために簡素化していますので、正確さにおいて欠ける部分があることをご承知下さい。