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所長メッセージ

2018/11/13
歴史は繰り返されている


 発明王のトーマスエジソンは、100年も前に1000件以上の発明を通して世の中に多くの新製品を提供した天才であり、努力家でした。中でも有名な三大発明は、電球、レコード、映画です。これらを通じて人々の生活様式を画期的に明るく、かつ楽しくしました。しかし、エジソンをしても、これらの発明は彼の思いとは異なる形で世の中に普及しました。それは、電気の流れが直流から交流への変化であり、筒型から円盤型レコードへの変化であり、無声映画からトーキーへの変化でした。
 それから、50年後には、トランジスタ、テレビ、電卓、ファクシミリなど多くの基本アイデアが米国で創作されましたが、これらはすべて日本で製品化されました。その過程で、日本の産業が飛躍的に発展する原動力となり、次々に新製品が発売され、技術的にも産業的にも日本の栄華は永久に続くように見えました。しかし、10年程度しか続かず、あまりにも短い世界一でした。
 現在、グーグルやフェイスブックなどGAFAの略称で呼ばれる米国のネットワークや通信を中心とするITビジネス王者は、世界中の富を集めて世の中に君臨しています。その売上高や株式時価総額は、日本の同業トップを遥かに超えていますが、それは主にこの10年間の出来事です。米国アップル社がiPhone を新発売したのは、ほんの10年前です。世界中で10億台以上のスマホが毎年販売されており、30億人以上が利用していると言われています。
 ところが、このようなネットビジネスの種は、20年前に日本企業が販売したガラパゴス携帯や、iモード通信にありました。当時は画期的な技術でしたが、大きなビジネスに発展できなかったのは残念です。日本製パソコンや携帯電話の製造は世界一の技術を有していましたが、コストや利用方法において後れをとったと言われています。
 このような世界的な傾向は何を意味するのでしょうか。世界で最初の発明をして、そのまま世界一のビジネスに発展させる場合もある半面で、最初の発明をしながら、世界一のビジネスに繋げられない場合も数多くあるということです。世界初のアイデアを創造し、それをビジネスにして発展させ、しかもそれを長く続けるのは並大抵のことではありません。たゆまぬ努力と良いチームが必要でしょうし、時には運も必要でしょう。それとは逆の立場から見ると、一時的に後れをとっても、努力次第で、それを回復するチャンスはいくらでもあるということにもなります。まさしくオープンイノベーションです。
 現状では、何かと停滞しているといわれる我が国ですが、今後も計画的な努力次第で隆盛する機会はたくさんあるということになります。それを成し遂げるのは、優れたリーダーとそれに続く多くのサポーターの存在だと思います。
 
太陽国際特許事務所
会長 中島 淳