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「ノウハウと特許の使い分け」シリーズ
  第6回 ノウハウとして保護を受けるためにはどうすれば良い?

2020/11/02(更新:2020/11/13)

1.法律で守るための要件

 自社内のノウハウなどの営業秘密が社外へ不用意に漏洩した場合に、法律的に得られる救済措置としては、不正競争防止法による刑事上、民事上の保護があります。営業秘密の漏洩により会社に損害を与えた場合には、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金が規定されています。
 しかし、この不正競争防止法のよる保護を受けるためには、営業秘密が適切に管理されている必要があります。「秘密管理性」、「有用性」、及び「非公知性」の3要件です。

2.秘密管理性とは

 自社のノウハウのうち、秘密漏洩があってはならないものを指定しておく必要があります。また、社員も、そのノウハウが会社の指定する営業秘密であることを知っている必要があります。このためには、会社内の規定その他のルールを明確にし、書面やデータにはそれが秘密ノウハウであることを明示します。また、それらのノウハウに接することができる社員を限定し、一般社員が見ることができないようにアクセス制限などの措置も必要です。

3.有用性とは

 そのノウハウが客観的に見て、事業活動にとって有用であることが必要です。例えば、そのノウハウを使うことが自社の利益につながる場合には有用性が認められます。

4.非公知性とは

 そのノウハウが、一般的には知られておらず、又は容易に知ることが出来ないことが必要です。具体的には、当該情報が合理的な努力の範囲内で入手可能な刊行物に記載されていない等、保有者の管理下以外では一般的に入手できない状態を指します。

5.社内体制の対応

 このような不正競争防止法のよる保護は、自社のノウハウなどが漏洩し、自社に損害が発生した場合は、発生している状況を差し止めるために有効な手段です。自社のノウハウが漏洩しないようにするためには、威嚇的な役目はあるとしても確信犯にはほとんど効果がありません。それでは、事前のノウハウ漏洩対策はないのか。これについては次章以降に説明します。


 
記事担当者:知財ソリューション部
 
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