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「ノウハウと特許の使い分け」シリーズ
  第7回 ノウハウ漏洩を防ぐための社内体制は?

2020/12/08

1.ノウハウの見極め

 大切なことは、社内の何がノウハウで、それはどこにあるかを明確にすることです。個人情報などの秘密事項については、未公開情報を特定し単に外部への流出を防止すれば良いので、ノウハウよりも簡単です。
 しかし、会社の秘密事項のうちで特定のノウハウ情報の漏洩は、コンプライアンスの問題ではなく会社の競争力に大きく影響します。社外へ漏れると、自社のビジネスを進める上での優位性を失うような情報です。それらは、先端技術の研究開発により得られた、研究データ、製造方法、設計図面、ビジネス企画書などがあり、販売先顧客情報が含まれる場合もあります。

2.ノウハウの所在と閲覧制限

 ノウハウ情報が特定されれば、次は社内のどこにあるのかを特定する必要があります。研究部、開発部、設計部、製造部、営業部、など社内の多数個所に存在する場合があります。それらの部署において、そのノウハウ情報はどのような形で存在するのでしょうか。昔はそれらは研究報告書や設計図などの書面で存在していましたが、現代ではその原本は電子データとしてコンピュータのメモリ内に存在します。
 各部署のコンピュータ内にノウハウ情報が存在していても、誰からも見られなければ情報漏洩は生じることはありません。秘密を保持できる決められた社員のみが閲覧するのであればノウハウ漏洩は問題ありません。このため、各部署の秘密ノウハウにアクセスできる社員を限る必要があります。出来れば、システム的にアクセス権限のある人を少なくし限られた社員だけがノウハウ情報を開くことができるようにすることが肝心です。

3.ノウハウの持出し制限

 ノウハウ情報は、コンピュータ内を閲覧するだけではなく、時には内容をプリントして持ち出す必要がある場合もあります。この場合にも、プリント日時、プリント作業者名、プリント権限付与者、社内外への持ち出し権限などを明確にして、許可のない社員による持ち出しを制限します。また、特定のキーワードや、一定量以上の情報がネットワークを介して社外に送信されるのを防止するシステムを構築しておくことも必要です。さらには、USBメモリなど、大量の記録媒体を社内のコンピュータに接続できないようにしておくことも大切でしょう。
 これらのほかに、ネットワークのハッキング対策や、ノウハウが社員の頭脳内にある場合への対応も必要です。現役社員や退職社員の記憶や知識を通じてのノウハウ漏洩事故も増えています。これについては、次回以降にあらためて説明します。


 
記事担当者:知財ソリューション部
 
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