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特許業務法人 太陽国際特許事務所
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FRANCK Muller vs フランク三浦
 
 新聞やワイドショーなどを賑わせた事件ですので、お聞き及びの方も多いかとおもいますが、FRANCK MULLER(以下、「FM」)のパロディー時計に関する商標(フランク三浦)の登録を巡って、現在係争中の事件です。

ここで、フランク三浦の商標登録に関する経緯を時系列で追ってみたいと思います。
(1)
平成6年12月22日 商標FRANCK MULLER登録 (第14類「時計等」)
(2)
平成24年8月24日 商標フランク三浦登録      (第14類「時計等」)
(3)
平成27年4月22日 FM側が(2)の登録に対して無効審判請求
(4)
平成27年9月8日  無効審決(FM側の請求認容)
(5)
平成27年10月16日 三浦側が無効審決に対する審決取消訴訟提起
(6)
平成28年4月12日  審決取消の判決(三浦側の請求認容)
現在、審決取消判決についてはフランク ミュラーの管理会社により最高裁に上告されています(平成28年8月31日現在)。

本事件では留意すべき点が2つあります。1つめは、今回問題とされているのは、特許庁での一連の審査の適否、つまりフランク三浦商標は登録されるべきであったかという点で、時計の外観上の類似性や商標権侵害などが問題とされているのではないという点です。

特許庁は商標の審査・登録を行い、あるいは登録についての異議や無効の請求などを取扱う行政機関です。審査段階では、出願された商標が商標法の規定に照らして、登録されるべきものかどうかを審査します。その際ポイントになるのが、類似する他人の登録商標の有無や出所混同の虞の有無(周知あるいは著名な商標と紛らわしいか)などです。本事件では、特許庁の審査段階、無効審判段階、そして知財高裁段階の3つの段階でそれぞれ判断が分かれました。特に知財高裁では、商標の外観が大きく異なることから類似性が否定された上、商品の出所の混同の虞の有無についても、商品の指向性が全く異なることから消費者等が商品を混同する虞はないと判断されました。

2つめの留意点は、パロディーという概念は商標法上規定されておらず、商標登録出願の審査段階でこの点を直接的に判断する機会はないという点です。審査段階ではあくまでも商標の類似や出所混同の虞の有無等が審査されるにとどまりますから、パロディーの事案であるのに類似関係や出所混同が認められないケースとなりますと状況的に厳しくなります。そうとなると周知・著名商標の権利者にとって酷なように思えますが、異なるアプローチを検討できる場合があります。一般には商品形態の類似性の点から不正競争防止法上の問題として、商標権侵害の問題として、場合によっては物品の外観の点から意匠権上の問題として争うことなどが検討できるでしょう。今回の知財高裁の判断には、本事件の事案の性質上、商標登録の可否の問題としてよりもむしろ異なる土俵で争われるべきではとの考え方が働いたのかもしれません。いずれにしても、最高裁での判断が待たれるところです。