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所長メッセージ

2026/01/05(最終更新日:2026/01/09)
皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます


皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 
 昨年も、知的財産を取り巻く環境には、多くの出来事がありました。
 ここ数年の変化と同様、生成AIの目覚ましい発展により、知的財産に関連する業務も、高度なサービスを提供する、という面でより充実してきたと感じています。弊事務所でも、お客様からの様々なご相談・ご要望に応じ、生成AIを活用した今までにないような取り組みを進めています。
 ところで、最近、ChatGPTをはじめとする一部の対話型AIサービスの新しいバージョンでは、(対話の仕方にもよりますが)対話の中で、ユーザー(人)に「寄り添う」という傾向がとても強く出てきているようです。
 先日、この「寄り添う」という特性が、メンタルヘルスの安定に有効であるというお話を聞きました。例えば、生成AIをいわゆるカウンセラーに見立て、悩み事を相談するのです。すると、生成AIは、「それは大変ですね」「あなたに共感します」「気持ちがよくわかります」といった具合に、誰よりも寄り添った回答を提供してくれるそうです。場合によっては、他人に対する批判的な回答まで提供してくれるそうです。実は、このような回答は多くの場合、ユーザーが潜在的に望んでいるものです。自分以外の他人(生成AI)から、自分の意見と同じような意見が提供されることで、「共感が得られた」「心地よい」という感覚になり、この感覚がメンタルヘルスの安定に役立つそうです。
 一方で、この「寄り添う」という傾向は、単に自分が欲しい回答・意見が提供されるということなので、このようなサービスに依存しすぎるのも危険かもしれません。
 その昔、SF小説で、AIが人間を支配し、仮想空間に閉じ込めてしまうという物語を読んだことがあります。その物語では、AIが、仮想空間に閉じ込めた人間に、ひたすら心地よい仮想環境を提供し、幸せな気持ちにさせるのです。一方で、人間はAIが提供した環境であるということすら忘れてしまう、というものでした。少しだけ、最近の生成AIとの会話に通じる部分があると思いました。
 我々も、生成AIが提供する心地よい回答や意見を鵜呑みにするのではなく、生成AIが出した回答を検証し、時には意図的に批判的な意見を提供させるような使い方をすることも必要なのかもしれません。
 数年前、対話型生成AIのサービスが開始された頃に、「弁理士の業務はAIに置き換わりますか?」といった質問をすると「はい、置き換わります」といった回答が提供されていました。しかしながら、最近では「一部は置き換わりますが、全部は置き換わりません」「弁理士の価値は残ります」といった回答が提供されます。後者の方が我々にとって心地良い回答ですね。
 
 ところで、「生成AIに対応する」ということに関連し、太陽国際特許事務所では、生成AIに関連した世界横断プロジェクト「AI発明者 DABUSプロジェクト」に参加しています。「DABUS」とはDevice for the Autonomous Bootstrapping of Unified Sentience(統合知覚力の自律ブートストラップデバイス)の略語であり、生成AIに人格を持たせる意味で命名した名前です。このプロジェクトでは、生成AI「DABUS」に自律的に生み出させた2つの発明について、世界各国で特許の権利化を試み、審査・審判・裁判等の過程において、発明者が生成AIであった場合にどのように判断されるのかを検証する、という取り組みを進めています。
 この活動を通じ、日々進化する生成AIに対し、使う側の人間が知財の側面でどのように考え、対応し、ルールを考えるべきか、等の議論が活発化されることを期待しております。
 日本における審理の状況や、世界各国の審理の状況、DABUSプロジェクトの発足経緯や参加意義等の詳しい情報は、以下の特設ページに記載がありますので、ご興味を持っていただいた方にはご一読いただけますと幸いです。
<AI発明者 DABUSプロジェクト 特設ページ>
  人工知能によって創作された発明の保護 DABUSプロジェクト
 
 さて、弊事務所は、今年創業から45年目を迎えます。
 今後も皆様によりよいサービスを提供できるよう、そしてお客様とともに豊かな知を醸成することができるよう、所員一同一丸となって精進して参ります。
 それでは、本年も、皆さまにとって、素晴らしい一年となりますよう、祈念申し上げて新年のご挨拶とさせていただきます。
 
太陽国際特許事務所
所長 中島 崇晴