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TEPRA PRO商標権侵害事件

2018/04/03
TEPRA PRO商標権侵害行為等の差止請求事件

平成30年1月19日、株式会社キングジム(以下、「キングジム」)は、同社が所有する「TEPRA PRO」等の登録商標に基づき、C社及びE社に対して商標権侵害行為の差止などを求める訴訟を東京地方裁判所に提起した旨発表しました。
 
「テプラ」はキングジムが製造販売するラベルプリンターです。スペックに応じて様々なラインアップがありますが、「TEPRA PRO」はその中のひとつです。
各種プリンターやファクシミリ等の機器類の消耗品には、ハードメーカー製純正品の他、比較的廉価なサードパーティー製「非純正品」があることはご存じの通りです。また、消耗品の場合、機器類と消耗品との適合関係が限定(特定の機器にのみ使用)される商品が多いという事情もあります。そのような商品の場合、非適合の機種に誤って使用することがないよう注意喚起することは不可欠ですから、適合機種を明示する必要があり、そのような表示が一般にされてもいます。
今回の事案でも、問題となったサードパーティ製テープカートリッジは適合関係が限定されていますので、適合機種の表示(具体的には「TEPRA PRO」の表示)が付されています。そして、このような表示を付しての商品販売がキングジムの所有する商標権の侵害となるのかが争われることとなったのです。
この問題を考えるに当たっては参考となる事案があります。サードパーティー製のファックス用インクリボンに付された標章の商標権侵害該当性が問題となった事案、ブラザー事件です。この事案で問題となったパッケージには、「インクリボン」、「普通紙FAX用」、「ブラザー用」、「For brother」などの表示がされていました。パッケージ中央に大きく最も目立つように表示されているのは「インクリボン」の文字で、その下部には「普通紙FAX用」と表示されていました。一方で適合を示す「ブラザー用」、「For brother」の表示は比較的小さく表示されていたこと、また、「~用」や「For~」といった目的や用途を示す語と併せて用いられていたことなどから、ブラザー用のファクシミリに使用できるインクリボンであることを示すための表記であると判断されました。そして消耗品における事情、つまり、誤用等の注意喚起目的で商品の外箱に適合機種を表示することは通常行われていること、また消費者もそのことを十分認識して購入の際の参考にしていること、などを考慮して、「ブラザー用」や「For brother」など表示は商標としての使用行為と解することはできず商標権の侵害には当たらない、との判断が示されました。
今回の「TEPRA PRO」の事案でも適合機種表示部分が問題とされている点ではブラザー事件と共通しています。その上、「TEPRA PRO」の右横には「互換」の文字が大きく記されていますから、「非純正品」であることを明示してもいます。一方、「TEPRA PRO」の文字部分が太字を用いて比較的大きく記されていてパッケージ中でも比較的目立つようにも見えます。このような事情ですので、ブラザー事件と同じように判断されるかというと微妙な部分があるとおもいますが、「TEPRA PRO」の文字部分が単に「適合を示す表示」といえるのか、それともむしろ「商標的な表示」と判断されるのかの点が判決の行方を大きく左右することになるものと思われます。
 


 
記事担当者:意匠商標室 関島 昌子
 
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