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位置商標 ~即席麺の容器の図形の商標~

2019/01/10

 日清食品ホールディングス株式会社(以下、「日清食品」)が出願した即席麺の容器の図形が、2018年4月6日付で位置商標として登録されました。
 

登録第6034112号

 おりしも即席麺の開発者をモデルとした連続ドラマが放映中で、今回の位置商標登録は日清食品にとってまたとない朗報となったことでしょう。
 商標として登録することができるのは、伝統的には文字やロゴなどでしたが、その後社会の変化と要請を受け、登録対象の幅が広がっていきました。例えば、平成8年には立体的形状(例:店頭広告人形など)が立体商標として登録対象とされました。その後、平成27年になると、動きの商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標、そして位置商標が新たに登録対象として加わりました。
 日清食品が登録を受けたのは、平成27年に登録が認められた位置商標です。位置商標とは「文字や図形などの標章を商品などに付す位置が特定される商標」のことをいいます。例えば、ジーンズの後ろポケットについている赤いラベル(タグ)のデザインや、ウインドブレーカの袖上部に施された三本線のデザインなどが位置商標として登録されています。
 今回登録されたのは、容器の上下に施された金色の帯状図形(いわゆる、「キャタピラ」)の商標です。創業者がデパートで見かけた洋皿のモチーフからインスピレーションを得て創作されたものだそうですが、シンプルですっきりとしたデザインで、商標中、キャタピラの他に文字やロゴなどは一切含まれていません。
 このようなシンプルな図形を商標登録出願した場合、審査において「単なるありふれた模様」と判断されてしまうケースが一般には多く、その結果、商標登録されるべきではないとの判断に至る可能性が非常に高いのです。今回のケースでも、実際にこの点が審査の争点とされ、キャタピラの認知度調査の結果など様々な資料を提出したうえで、さらに意見を述べるなどし、数年の年月を経てようやく登録に至ったようです。
 新しいタイプの商標が登録対象とされたことについては保護の範囲が広がりプラスの面がある一方、審査結果予測や審査過程での対応が難しく、願書記載方法も独特な部分があるなどのマイナスの面があるのも事実です。新しいタイプの商標出願に興味はあるけれど不安もある、そのような場合には弊所までお気軽にご相談ください。
 


 
記事担当者:意匠商標室 関島 昌子
 
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