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所長メッセージ

2021/01/05
新春を迎えてのご挨拶


 新年明けましておめでとうございます。変わることなく、自然は美しく素晴らしい景色を、私共に与えてくれています。一方では、人類を悩ましている新型コロナウイルスという大災厄の脅威には、人間が作り出した曜日とか年月とかの区切りが無意味であると思い知らされます。
 コロナウイルスが国内で確認されてからほぼ一年が経ち、一度は国内でこれを撃退したかと思われました。しかし、感染は第2波、第3波と国内に蔓延し、医療崩壊は目前に迫っています。バイオハザードは、物語や映画の中での架空の世界であるとの認識は、見事に裏切られつつあります。
 思わず、「国破れて山河在り 城春にして草木深し」という杜甫の漢詩が頭をかすめます。現状は感染第3波の真っただ中であり、緊急事態宣言の再発出も時間の問題と見られています。ウイルスの撲滅どころか、最後は集団免疫を獲得して終焉するというような事態になるのは避けたいところです。
 一方では、すでにワクチンも開発されて、国によっては接種が開始されています。このため、時間はかかるもののコロナウイルスは収束に向い、延期されたオリンピックも開催されるものと信じています。その前に、我々が自主的にコロナウイルスの再生産数を次第に減らして退治できると期待します。
それでは、何故にこのようにコロナウイルスが蔓延する状況に立ち至ったのでしょうか。それは、我々の心に棲む「まさか」という油断だと思われます。政府や東京都が外出自粛や三密防止を呼び掛けても強制力がなく、自分一人が従わなくても大事にはならないという思い込みが、感染拡大を招いているのでしょう。これは、成功体験や現在の安全な状態が明日も続くであろうという、安易な現状維持本能に通じるものがあります。
 たしかに組織を継続的に発展させるためには、代々の指導者やそれを支える参謀が優れていなければ、実現できません。一方では、皆が日々努力する毎日を過ごすことも重要です。我が国にはそのための人的資産が豊富です。
 知的財産もコロナウイルスへの対処法と似通ったところがあります。その場に適した短期的な対処に限らず、長期的な対処も併せた双方の対応が必要です。常に現状に問題点を見出し、進歩改善を着実に進めないと、すぐに敗退して取り残されます。現状が最適であるとか、「まさか」とかの思い込みが自分を窮地に追い込む大敵なのだ、と思う警戒心や日頃の準備が一番の対処発展力です。
今年が皆さまにとって、より良き時代の先駆けの一年になりますよう、祈念申し上げて新年のご挨拶とさせていただきます。
 
太陽国際特許事務所
会長 中島 淳