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「ノウハウと特許の使い分け」シリーズ
  第2回 あなたの会社にも必ずノウハウがあります

2020/06/02(更新:2020/11/13)

1.自社ノウハウの認識をするべきです

 あなたの会社には、製品を作るためのノウハウや優れた企業秘密がありますか? と尋ねると、かなりの中小企業が、我が社に特有な企業秘密やノウハウなどありませんと答えます。しかし、これでは自社の特有技術について認識が不足しています。このように答える会社に限って、多くの目に見えない特有の技術やノウハウがあるものです。
 自社の製品を他人が見て、同じものを直ぐに作れて御社と同等以上のビジネスを展開できるでしょうか。他社は、たとえ御社の製品を模倣しようと思っても、どのような材料なのか、どのような製作方法なのかなどを直ぐに理解するのは難しいでしょう。しかし、御社の製造図面、製造指示書、仕入れ指示書、現場管理書類、原価管理書類、顧客名簿、販売指示書などがあれば、かなり簡単に同じ製品を作ることができます。このような書類は秘密ノウハウの中核です。また、製造現場で製品製作を担当している社員の知っている製造方法も大切なノウハウです。

2.ノウハウは社外へ漏らしてはいけません

 展示会や工場見学などで、その会社の社員に製品についての、材料割合、温度管理、時間管理などを質問すると、それは企業秘密なのでお答えできませんと言われることがあります。これが、まさしくノウハウなのです。最近では、分析技術が発達しているので、様々な高度の分析機器により、競合企業の製品を分析することができます。どのような材料がどの程度の割合で使われているかなどを知ることができるようになりました。しかし、製造工程の温度、時間、手順など管理は知り得ないので、すぐには同じ製品は作れないことが多いものです。
 このように公開情報を見ても同じ製品を製作販売することが出来ない秘密情報は、大切に管理して、他社が同じ製品を作れないようにすることで企業の優位性を保つ必要があります。競合企業は何とか同じ製品を作ろうと必死です。ときには我が社のノウハウを盗もうとするでしょう。販売した製品を見れば、直ぐには製造できないが、いずれは技術向上により、同じ製品を作れるのだからと、製造工程の重要部分を不必要に、教えたり見せたりする企業がありますが、企業戦略的には問題があります。

3.ノウハウは我が社が先を走っている証です

 この「いずれは追いつかれる」は何時なのでしょうか。競合他社が同程度製品の製造を企画しても、製造設備や販売準備のために短くても数年は必要です。この年月の差こそ、企業の優位な先行利益です。相手企業が我が社の技術に追いつくときには、我が社はさらにその先を行き、今度は数年では追いつけないだけの技術開発やビジネス戦略を構築することが肝心です。
 このためには、不用意に自社のノウハウを公開することなく、かつ違法に競合会社が我が社の技術を盗めないような体制を整える必要があります。秘密情報やノウハウなしで、製品を販売するのは、素手で戦争に行くようなものと言えます。


 
記事担当者:知財ソリューション部
 
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