日本における審理状況
2023/03/31(最終更新日:2026/09/29)
【最高裁決定】DABUS事件における上告不受理決定について
人工知能(AI)「DABUS」が自律的に創作した発明について、特許出願における発明者適格性が争われた訴訟(DABUS事件)において、最高裁判所第二小法廷(岡村和美裁判長)は、2026年3月4日付で申立人(スティーブン L ターラー氏)側の上告受理申立てを退ける決定を下しました(事件番号:令和7年(行ヒ)第159号)。
これにより、東京地方裁判所(一審)および知的財産高等裁判所(二審)の判決が確定し、「我が国の現行特許法上、発明者は自然人に限られ、AIを発明者とすることはできない」という法的判断が最終確定いたしました。
1. 事件の経緯と司法判断の流れ
| 判決・決定日 | 機関 / 事件番号 | 判断の概要 |
| 2024年5月16日 | 東京地方裁判所 (令和5年(行ウ)第10065号) |
「現行特許法上の発明者は自然人に限られる」として、特許庁による出願却下処分の取消請求を棄却。 |
| 2025年1月30日 | 知的財産高等裁判所 (令和6年(行コ)第10006号) |
一審判断を支持し、控訴を棄却。 |
| 2026年3月4日 | 最高裁判所第二小法廷 (令和7年(行ヒ)第159号) |
上告受理申立てに対し、受理しない決定を下し、一審・二審判決が確定。 |
2. 最高裁決定の概要
最高裁判所第二小法廷(岡村和美裁判長)は、上告受理の条件を満たさないものと判断し、本件を上告審として受理しない旨を決定しました。
この結果、「特許法における発明者は自然人に限られ、AI(DABUS)を発明者とした出願は認められない」とする知財高裁判決(令和7年1月30日判決)が確定いたしました。
3. 本プロジェクトの意義と今後の実務・展望
本件プロジェクトにおいて、弊事務所は特許出願手続きを担うとともに、訴訟段階においては訴訟代理人であるKTS法律事務所(佐藤安紘弁護士等)と連携し、弁理士の専門的知見から裁判の審理を支援してまいりました(無償プロボノ活動)。
- • 現行法の解釈の確定:
最高裁の最終決定により、現行の日本の特許制度下における「発明者」の定義は自然人に限定されることが明確化されました。これは、米国(CAFC)、英国(最高裁)、欧州特許庁(EPO)など、主要国・地域の司法機関における「発明者は人に限る」という国際的な傾向と整合する結果となります。
- • 次なるステップ(制度論・実務対応へ):
今回の司法判断の確定を受け、今後の知財実務における焦点は「AIをツールとして活用して人間が創作した発明(AI支援発明)」の保護基準や、実務上の発明者記載方法に移ることになります。
弊事務所では、本プロジェクトを通じて得られたAIと知財法理に関する先進的な知見を活かし、お客様のAI活用に伴う出願戦略や知財保護の支援に引き続き尽力してまいります。
※地裁・高裁段階での詳細な審理経過および付言事項についてはこちら
記事担当者:副所長(執行役)外国統括管理部 設楽 修一
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